「魔法が好きなんだろうな。できれば使わせてやりてえよ俺だって。…夜巳さんも同じ気持ちだったから、見守ってたんだろう」
見下ろした瞳はどんなものより優しさと慈しみ、そして愛情に溢れていたから。
彼と江架の関係をもちろん知りたくなったけれど、それは僕にとって嫉妬心を掻き立てるものではなかった。
「…あの頃も寝てたよな、おまえ」
灰色の平地のなか、見下ろす彼と江架の過去を。
僕は純粋な意味で知りたいと思った。
「助かったのは、完全ではないまま開花したことだ」
「…完全に開花すると、どうなるんですか」
「自我を失うほど暴走する挙げ句、最終的に自らの身をも焼き尽くす」
そう言ってレオンハルトさんが瞳を伏せた先に、特殊な魔法に守られて朽ちてはいなかった遺影があった。
「ただ、太陽に吸収された夜巳さんを救うには…完全に開花させなければならない」
矛盾している。
完全に開花させれば暴走し、自我をも飲みこむ。
けれど完全に開花させなければ、夜巳さんを救うことができない。



