「そうではない。ほとんどがエーテル国の人間と変わらぬ、初期魔法止まりのはずだった」
「……だった?」
「ああ。その小娘の母親…、つまり夜巳の娘が生まれるまでは」
転がった遺影に写る、江架によく似た女性。
おなじ髪の色、瞳の色。
江架も数年後は今以上に彼女の面影を映すんだろうと、僕は灰をそっと退かす。
「夜巳の娘は、赤子の頃から太陽の力を持っておった。とても……悲惨な幼少期を過ごしていたものじゃ」
少しのきっかけで太陽の魔力が爆発し、意思とは反対にところ構わず強すぎる魔力を解放してしまうと。
それを必死に抑えてきた夜巳さんの苦労は、聞いただけで心に訴えかけてくるものがあった。
町の人々からは恐れられ、避けられ、ついには化け物とまで呼ばれ。
この人里離れた場所でひっそり暮らすことになった経緯は、夜巳さんが娘を守るため。
そして彼女はたったひとりで、娘だけでなく孫をも守ろうとしていたのだ。



