「……ひどすぎる…、いったい誰がこんなことを…!!」
癒しを与える魔法を持つローサが、怒りに叫ぶ。
そんな姿を見てこぶしを握ったハオ。
みんなで囲んだ座卓、部屋に置いてあった花瓶、食器に調理器具、使われていた家具たち。
ありとあらゆる物がくすんでは黒焦げ、原型さえ崩れていた。
そしていちばんは、夜巳さんが手入れしていた庭。
跡形もないほど、消え失せた色。
「ああ……、あああ……っ」
「江架…!」
僕の腕からふらふらと地面に着地し、歩けることを覚えたばかりの幼子のように。
今にも途切れそうな意識を懸命につなぎながら、平地に変わった家へと向かう江架。
「………な……い……」
死体すら、残っていない。
塵すら、残してはくれない。
どんな魔法を使えばここまで残酷に消してしまえるのか。
ほんのわずか触っただけで、柱だった木が灰に変わるほど。



