「江架?」
私の小さな傷をまっさらな状態に治してくれた制服の袖、ぎこちなく掴む。
「あのね、毎日楽しいの。迷惑ばっかりかけてるかもしれないけど……私、がんばる」
「……かっわい」
「へ…?わっ、わ!」
おばあちゃんのぬくもりではなくて。
顔を合わせるたびに毎回と言っていいほど抱きしめてくれるローサさんのものでもなくて。
ルス先輩からしか味わえないドキドキと柔らかな幸せが、私を包み込んでくる。
「迷惑なんかじゃない。僕も楽しいんだ。
…僕たちならぜったい完成できるよ」
彼も、かつては魔力開花しなかった。
母親は魔法を使えない人間だったと。
エーテル国出身の人ではなかったのかな…。
だからこそ、誰よりも私たちは気持ちを理解し合うことができる。
「それに僕の魔力に耐えられるのだって、江架だけだとも思うから」
最初の頃に言っていたっけ。
今までペアを組んだ人間は、みんな自主退学していったと。



