「立夏、休みかと思ったよ、いつも先に来てるのに」
「ごめん、母親が怪我して電車で来たから」
「怪我!大丈夫なの?」
「右足だから車に乗れなくてちょっと不自由かな」
「雅人と同じ電車だったんだ」
「うん、同じ駅だからね」
「約束…」
「ん?」
立夏はスマホないから約束は出来ないか……
「ううん、雅人、変な人がいたら立夏を守ってよね」
「ああ…」
立夏が筆箱を開けると同じシャーペンが2本入っていた。
あれ?雅人くんのかな、自分と間違えて入れちゃってた。
「雅人くん、これ」
「ん?」
雅人は筆箱を見た。
「あぁ、悪い」
「私こそ、ごめん」
両手を合わせて頭を軽く下げた。
同じシャーペンを午前中に使ってたんだ。
今まで気にしたことなかったけど、ちょっと嬉しい……
雅人くんは渡したシャーペンをクルクルっと器用にまわしている。
先生から授業終わりに明後日から合宿だから参加する人はしっかり集中するようにと言われた。
「立夏、合宿でまた会おうね」
「うん」
「じゃあな、綾、立夏帰るぞ」
「あ、はい」
立夏は雅人の後ろについて教室を出た。
「いつもなら私が立夏と出るのにな……立夏がいるとさっさと教室出るんだ」
いつもならもう一本遅れてもいいって言ってるのに…
やっぱり雅人は立夏が好きなんだ……
でも、私だって……



