「あ、あのっ……! こ、これと、あと、これは、抜いちゃダメなやつ、です……」

 まだ花が咲いているものを抜こうとしている竹森くんを止めると、彼がめんどうくさそうに軍手を脱いだ。

「だる……」

 低い声でつぶやくと、竹森くんが軍手をぽいっと投げ捨てる。

「あ、ご、ごめんなさい……。余計なこと、言って……」

 あからさまに不機嫌になっている竹森くんに、あわてて謝る。

 このまま竹森くんに帰られたら、わたしはまた委員長に注意されてしまう。

 立ちあがろうとする竹森くんの手をとっさにつかんだそのとき。

 竹森くんに、思いきり手を振り払われた。

「触んな、キモい……」

 竹森くんの言葉に、胸がズキンとなる。

 彼から直接悪口のようなものをぶつけられたのは初めてで。わたしは、なぜかとても傷付いていた。

 泣きそうにうつむくと、竹森くんが前髪をかきあげながらため息を吐く。

「まじやめて。そんな顔すんの。あのさー、こんなこと言うのもなんだけど……」

 ちらり、視線をあげると、竹森くんと目が合う。