「た、竹森くん……」
呼びかけると、竹森くんがうざったそうにわたしを見てきた。
そのまなざしが怖い……。けど、来てくれただけでもありがたいと思うしかない。
中庭の花壇はけっこう大きくて、まだ全然雑草が抜けきれていない。少しでも人手があるほうが助かるんだ。
それに……。わたしをからかってくる男子グループの人たちはみんな怖いけど、竹森くんは少しマシ。
わたしのことをイヤそうに見たりしてくるけど、結局こうやって委員会の活動に出てきてくれたし。竹森くんは、直接的な言葉でわたしをからかってこない。
くじ引きで園芸委員に決まったときも、最初の数回はちゃんとわたしと委員会活動に出てくれた。
話しかけてもムシされることが多いけど……。
わたしをからかう他の男子たちほど、イヤな人ではないように思う。
「あ、あの……。ざ、雑草を抜くの、手伝ってもらえますか?」
軍手を差し出しながら小さな声でお願いすると、竹森くんに無言でそれを奪い取られた。
花壇の前にしゃがんだ竹森くんが手当たり次第に生えている草を引き抜き始める。よく見ると、そのなかには、雑草じゃないものもあった。



