「二年一組の竹森くん、上野山さん。至急っ! 校庭の花壇の前に来てください」
竹森くんたちのグループから離れてひとりで教室を出ようとすると、また校内放送がかかった。
二度目の呼び出しに、教室はざわざわ。
「ほら、上野山さん行ってんぞ。竹森も早く行けよ」
「はあ……、なんでだよ」
グループの男子たちに背中を押された竹森くんは、不愉快そうにしている。
あんな状態の竹森くんを、一緒に連れていくなんてムリだ。
あきらめてひとりで校庭の花壇に行くと、委員長に怒られた。
「今日は、男子の委員もちゃんと連れてきてって頼んだよね?」
「……す、すみません」
小さな声で謝ると、委員長が「はあーっ」と深いため息をつく。
「とりあえず、上野山さんは担当場所で仕事をして。いつも通りに、中庭の花壇をお願い」
「は、はい……」
そのあと、委員長がまた校内放送をかけにいく。
委員長にしつこく呼ばれた竹森くんが、めちゃくちゃ不機嫌な顔で中庭の花壇に来たのは、昼休みが半分終わった頃だった。



