恋するパンジー


 ヒミツって言っても……。どうかな。

 わたしはもちろん誰にも言わないけど、竹森くんたちから変なウワサが広がらなければいいけど。

 不安に思いつつ、苦笑いする。

 ふと見ると、口元に手をあてた千葉先輩の右手の指が少し赤くなっていた。

「手、は……? 大丈夫ですか?」

「あー、音はデカかったけど、ちゃんと加減したから大丈夫」

 千葉先輩そう言うけど、心配だ。

「ほ、保健室行きます……?」

「へーき、へーき。それより、上野山ちゃん。おれと付き合わない?」

「え……、なん……」

 にこっと笑って、ふつうにとんでもないことを言ってくる千葉先輩。

 今の話の流れで、どうしてそういう展開になるのか、全然わからない。