「だって、上野山ちゃんが話すの苦手で、話し方がおどおどしちゃうからって、上野山ちゃんの話をちゃんと聞かない理由になんないじゃん」
「……」
「それに、おれは上野山ちゃんのこと気になってるから。気になってる子の話は、よけいにちゃんと聞くよ」
気になってる子……。
千葉先輩の言葉の意味を、頭が勝手に早とちりして、心臓が勝手に期待する。
勘違いだって、結局傷付くのがオチなのに。
ドキドキするのが、止まらない。
どうしようもなくて顔をそらすと、千葉先輩がわたしの反対側にくるっと回ってきて、にこっと笑う。
「あと、もういっこ。上野山ちゃんは、かわいーよ」
ふいをつく言葉に、顔がぼうっと熱くなる。
かわいー、なんて。そんなの、ない。
今まで、誰にも言われたことない。
千葉先輩は、モテるから。どうせ、誰にでも言い慣れてるんだ……。
わかってる。勘違いしちゃダメだって。
でも、やっぱり、どうしても……。少しうれしい気持ちが抑えられなくて。
ドキドキする心臓が、止まらなくって。なんだか、すごくいそがしい。