恋するパンジー


 困っていると、千葉先輩がふっと笑ってわたしの隣にくっつくように並んだ。

 千葉先輩の腕にトンッと肩がぶつかる。

 ドキリとして見上げると、千葉先輩が優しい目をして笑いかけてきた。

「しょうがない。じゃあ、いっしょに片付けに行こ」

 コクンとうなずくと、千葉先輩がそのままわたしと並んで歩いてくれる。

「あ、あの……。せ、先輩っ……。わたしと歩いてるとこ、見られたら……、クラスの友達とかに、変なこと、言われませんか……?」

 心配になって聞いたら、千葉先輩が不思議そうにわたしを見てきた。

「変なことって?」

「わ、たし……、千葉先輩の周りにいる女の子、に比べたら、その……、じ、地味……だし。誰が、どう見ても、フツリアイ……」

 千葉先輩にじっと見つめられたら緊張して。

 話す言葉が、いつもよりもおどおど、ボソボソ。たどたどしくなって……。視線も、どんどん下へと下がっていって。

 最後は完全にうつむいて黙り込んでしまう。