恋するパンジー


「おれは、上野山ちゃんと帰りたいんだよ。ちゃんと話したいこともあるし」

 話したいこと……?

 また、勘違いするなとか、そういう話かな……。

 でも、わたし、千葉先輩には自分から近付きすぎないようにちゃんと気を付けた、よね……?

「上野山ちゃん、これ、どこに片付ける〜?」

 ぐるぐると考えていると、千葉先輩が片付けた用具を持って歩き出す。

「あ、そ、それは、校庭の用具入れに……」

「校庭の用具入れね。りょうかーい!」

「で、でも……! それは、わたしが片付けます……!」

 苗ポットの入っていたトレーとスコップ、軍手を持って、すたすた歩いて行く千葉先輩。

 その背中を急いで追いかけて用具を持とうとすると、千葉先輩がくるっと半回転してわたしを避けた。

「いいよ。これは、おれが片付けてきてあげる。上野山ちゃんはカバンとってきなよ。どこに置いてんの? 教室?」

「きょ、教室、ですけど……。でも、わたしの仕事だから……」

「いいじゃん。これくらい、おれに任せちゃえば。上野山ちゃん、マジメ〜」

 千葉先輩に不満そうな顔をされて、どうすればいいかわからなくなる。