「上野山ちゃん、仕事終わったんならいっしょにかえろー」
「……え!? な、なんで……?」
本気で戸惑うわたしを見て、千葉先輩がククッとおかしそうに笑う。
「なんで、って。そんなの、おれが上野山ちゃんといっしょに帰りたいからに決まってるじゃん」
「わ、わたしと……です、か……?」
「そうだよー。だから、上野山ちゃんがパンジー植え終わるの待ってたんだけど」
「……え!?」
ずーっと花壇の前に座って、退屈じゃないのかなあって思ってたけど。
まさかの、わたしを待ってたの……?
「な、なんで、わたしなんかを……」
千葉先輩が、わざわざ待ってたなんて。
なにか、理由があったに決まってる。
わたしが……、わたしの分際で、最近、千葉先輩のことを避けていたから。
千葉先輩に「サッカー見てて」って言われたのに、約束やぶって見なかったから。
上野山のくせに、生意気だって。
お金を巻き上げられたり、ボコボコにされたり。なにか報復されちゃうのかもしれない……。
そうでなければ、イケメンでモテる千葉先輩がわたしといっしょに帰りたいなんてあるはずない。
青ざめるわたしに、千葉先輩は、ふわっと笑いかけてきた。



