花壇の前にしゃがむと、ふーっとため息を吐く。

 しばらくそうして気持ちを整えると、わたしはトレーで運んできた花の苗のポットを、間隔を空けて花壇に並べていった。

 何回かに分けて、雑草を抜いて、土を耕して。整備した花壇に植えるのは、パンジーの苗。

 竹森くんは、ほかの花壇の手伝いに回っちゃったから、中庭の花壇を整備したのはわたし。

 大変だったけど、ひとりで作業するうちにここの花壇に愛着も沸いてきて。

 今は、わたしが最後までお世話しなきゃっていう責任感まで生まれてきてる。

 花壇に植えるパンジーの花は、赤、黄、青、白、紫と色とりどり。

 どういうふうに植えれば、きれいに見えるかな。

 植え方の並び順を真剣に考えていると……。

「上野山ちゃん」

 後ろから、ぽんと肩を叩かれた。

「……ぅえ? わあっ……」

 花壇に集中していたわたしは、おもわず変な声を出して、後ろに尻もちをついてしまう。

「上野山ちゃん、ビビりすぎ」

 くつくつと笑う声が聞こえて見上げれば、千葉先輩だった。