「千葉先輩、この頃、やたら上野山さんに絡んでない?」

「あーね。いつ仲良くなったんだろ」

「前まで竹森くんにばっかいってたけど、千葉先輩に乗り換えたのかな」

「え、身のほど知らず」

 クラスの女子たちのささやき声にもなっていない陰口と嘲笑が聞こえてきた。

「竹森くんといい、千葉先輩といい、上野山さんがいくのって、モテるひとばっかだよね」

「もしかして、あのおどおどした変なしゃべり方って、男子の気をひくためにわざとやってんのかな」

「うわー、それやばっ。ひくわー」

 そんな会話を背中で聞きながら、わたしは静かに窓を閉めた。

 ダメだ……。

 わたしが千葉先輩の呼びかけにうかつに反応したら、千葉先輩に迷惑がかかっちゃう。

 わたしみたいな子は、もっとおとなしくしとかないといけないんだ……。

 そうしないと、また竹森くんのときみたいに、千葉先輩にも勘違いするなとか、迷惑だとか言われちゃう。

 今度、千葉先輩に声をかけられることがあったら、ちゃんと言おう。

 わたしを見ても話しかけてこないでください、って。