恋するパンジー


 複雑な思いで窓の外を見ていると、少しずつ遠く、小さくなっていく千葉先輩が、まだわたしに向かって手を振っている。

 何なんだろう、あのひと。モテる人って、なに考えてるか、ぜんぜんわかんないな。

 そう思いながら、ほんとうに、ほんっとーに、小さく手を振り返してみると、千葉先輩が両手で口元にメガホンを作った。

「上野山ちゃーん、おれ、サッカーがんばるからちゃんと見ててね~!」

 距離がだいぶ離れたのに、千葉先輩の叫ぶ声は三階のわたしのところまではっきりと届く。

 どうしてわたしなんかに、そんなこと言うんだろう。

 わたしに頼まなくっても、千葉先輩のことを見てる女の子はたくさんいるはずなのに。

 戸惑いつつも、顔の横で小さく両手で丸を作ってみせると、千葉先輩が嬉しそうに大きく手を振り返してくる。

 ほんと、変な先輩だな……。

 口元に両手をあてて、くすっと笑う。そのとき。