そうこうしているうちに、昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。
しまった……。
結局、中庭の花壇の整備は完了してない。
スコップやゴミ袋も置いてきたままだ。
「あ、あの……。わ、わたし、授業始まるまでに片付けないと……。なので……、中庭に戻ります」
あたふたしながら、千葉先輩におじぎをする。
そのまま、中庭に走って戻ろうとすると。
「上野山ちゃん!」
千葉先輩に呼び止められた。
立ち止まって振り向くと、千葉先輩がわたしに手を振りながら、ふわっと笑う。
「また会ったら、声かけてもいい?」
「え……、っと? は、はい……」
学年の違うわたしと千葉先輩が、また会うことなんてあるだろうか。
妙なことを訊いてくる千葉先輩に、わたしはとまどい気味にうなずいた。