恋するパンジー


 わたしは、竹森くんって人のことを少し勘違いしていた。

 委員になってすぐの頃、竹森くんはわたしといっしょにマジメに花壇のお世話をしてくれた。

 竹森くんと同じグループの男子たちは、わたしのおどおどした態度や話し方をバカにしてからかうけど、彼はわたしをからかってこなかった。

 しゃべりかけるとたまに睨まれて怖かったけど、からかわれない分、他の人よりも話しかけやすかった。意外にいい人なのかなって思った。

 だけど、違った……。

 竹森くんも、わたしをからかってくる他の男子たちとおんなじだ。

 悔しいのか、悲しいのか。

 じわっと涙が盛り上がってくる。

 片方の手だけ軍手をはずすと、メガネを持ち上げて涙をこする。

 だけど、ふいても、ふいても涙が浮かび上がってきて。どうしようもなかった。

 なんでこれくらいのことで……。

 止まらない涙に困っていると、

「うわー、ひっどいね」

 中庭の真ん中に置かれたベンチから、男子生徒が起き上がった。