人狼様に嫁ぎます〜シンデレラ・ウェディング〜

「……そうですね。答えのないことを考え続けていても、わからないものはわかりませんから」

ヴァイオレットはそう言い、シャーデンフロイデのことを一旦頭から忘れようとする。イヴァンに貸してもらった文献には、謎の声のことなどは何も書かれていない。書物から答えを探るのは難しいだろう。

「一日中歩いたからお腹が空いてしまったね。今日の夕食は何か楽しみだ」

「今日は確か、ローストビーフにする予定だとアイリスが言っていました」

今日の夕食の話をしながら歩く。もうどの家でも夕食の時間が迫っているためか、いい匂いがあちこちから漂ってくる。ヴァイオレットは、自身のお腹が音を立てないよう祈りながら歩いた。

「調査に付き合っていただき、ありがとうございます。また明日もよろしくお願いします」

ヴァイオレットが軽くイヴァンに頭を下げると、「お礼なんていらないよ」とすぐに優しい声が降ってくる。イヴァンは微笑みながらヴァイオレットを見つめていた。

「ヴァイオレットのためなら、僕はどこへだって一緒に行くよ。きっと君のためなら、アイリスやリオンも同じ気持ちのはずだ」

胸の中に温かい波が押し寄せる。ヴァイオレットは胸元に触れた。温かい。しかし、泣いてしまいそうになる。