オリバーは頭をガシガシとかきながら説教を中断し、「ほら、いつまで隠れてんだ」とフェリシアーノをサクラの背後から引きずり出す。

「フェリシアーノ、いきなりどうしてあんなことを?シャーデンフロイデの調査は僕たちがすると決めていたはずだ」

「いや〜、あの場を収めるにはああ言うしかないと思って。もちろん申し訳ないとは思ってるよ?」

あまりにも無責任な言葉にイヴァンは苛立ちを覚える。もしもヴァイオレットが居場所を突き止めることができなければ、イヴァンはヴァイオレットと離婚をしなくてはならないのだ。

「僕はヴァイオレットと離婚して、あの女と結婚する気はないよ。フェリシアーノはヴァイオレットが僕に振り向いてもらえるよう、協力してくれるんじゃなかったの?」

イヴァンが淡々と詰め寄ると、フェリシアーノは「ごめん。もちろん応援はしてるよ」と謝りつつ、「でも」と続けた。

「前例がないことは、乗り越えるには大きな壁があるものなんだよ」

「壁?」

イヴァンではなく、サクラが聞き返す。フェリシアーノはサクラの方を見て頷いた。