ひとりぼっち歌姫とヘッドフォンの彼

「遠慮します」

 私は部長に入部届を突き返した。

「……ん?なんだって?」

「遠慮します」

 部長は信じられない、と言わんばかりに首を横に振る。

「なぜ?軽音部に入ったらプロになる道筋が出来るし…あぁ、過去の無礼なら謝る。この通りだ」

「遠慮します」

「っ、なぜだ!」

 スゥ、と私は息を吸った。

「ダセェから、です」

 ふ、と後ろで篠井くんが笑う気配がした。

「……は?」

「ダセェので、遠慮します…!」

 目を見開く部長が後ろによろけて幹部たちが受け止めた。そして壊れたように笑い出す。

「軽音部が、ダセェ?ふ…あっはは!後悔しても知らねぇからな!!」

 部長たちは大きな足音をさせながら控え室を出て行った。振り向くと、篠井くんがニッと笑って手を挙げている。

「パクリ」

「フフッ」

 私は篠井くんの手にパンッと手を打ちつけた。