「おっまえ、ほんと……っ、あーもう!」

 目をハートにする女の子たちの前を素通りした篠井くんは、息を切らして私の元に来る。

「スマホないのマジでめんどくせぇ!はやく買ってもらえよ!」

「えっ、あっ、ごめん…?」

 もう会うこともないだろうと思ってた篠井くんが突然やってきて突然ダメ出しをしてくるので、訳も分からずひとまず謝る。
 そこでようやく女の子たちに気付いた篠井くんが、その強い眼力で見る。

「あ? なんか用?」

「っ、いえ!なんでもないです!」「邪魔しちゃってすみません!」

 二人はキャー!と嬉しそうに声をあげながら去って行った。

「……?」
 
 何だったんだろう…

「なぁ」

「は、はいっ」

「校長に文化祭出てくれって頼まれたんだけど、どうする?」

「えっ?」

 校長?文化祭?

「軽音部の出演時間削って俺たちの時間作りたいんだとよ」

 ……?

「……あっ、SOOT、誘われたの?」

「ちげーよアホ。もしかして見てない?」

「えっ?」

 めんどくさそうに私の隣に座った篠井くんは、スマホを起動してSNSサイトを開くとブックマーク内にあった動画付きの投稿をタップした。