私に話しかけてくれるような女の子の知り合いはいないはず。 なにか怒られるのだろうかと、ドキドキしながら後ろを見た。
 そこには緊張した様子の女子中学生二人組がいた。

「! やっぱり!」

 二人は私の顔を見てパァッと嬉しそうにすると、手を取り合って喜び始めた。

「……?」

「あの、もしかして……」

 女の子の一人がなにか言おうとしたとき、


「音葉!」

 遠くから名前を呼ばれた。
 見ると、篠井くんがこちらに向かって走ってきている。

「し、篠井く……」

「「ッキャー!!」」

 女の子二人が黄色い歓声をあげる。