「いやーダメもとで聞いてみてよかった!コンテストなんか出なくても別枠で夜のステージ用意させてもらうのに。よかったの?」

「大丈夫です。今日はこのユニットでやる初ライブなんで」

「ハハッ、そうか。初ライブに選んでもらえて光栄だよ。それにしても篠井くんがユニットなんて意外で驚いたな。それもまさか、こんな可愛い女の子と!」
 
 篠井くんの一歩後ろで縮こまる私に、田中さんが人懐っこい笑顔で微笑んだので、慌てて頭を下げる。

「精一杯やらせてもらいますので、よろしくお願いします」
 
 篠井くんが礼儀正しく頭をさげて、私も一緒に下げる。

「こちらこそ!楽しみにしてるよ」

 田中さんは笑顔で手をあげて私たちから離れると、設営してる大人たちに話しかけに行った。