彼女はにっこりと笑った。エミリーは手の中にある黒いものをリヴィに見せる。
「これね、銃よ。わたくしは剣なんて扱えないけれど、これは女性でも使えるの。もちろん、ものすごく高価なものだから、貴方は知らないわよね。猟はしたことある?無いわよねどうせ。あれは獣用だけど、これはね、鉛の玉が飛び出して、人の体を貫くのよ」
彼女は自慢げに手の中の銃を振ってみせた。雷に打たれたような衝撃が、リヴィの体を貫く。
「ま、まさか……。レインス様を……」
「ふふ。彼ったら、ほんとうに私が迎えに来たと思ってたわ! それで、自分は死んだことにしてほしいとか言うのよ。すまないって謝ってきたの! 王都に戻らないんですって……小さい頃は、アルベルト兄様はわたしの言うことはなんでも聞いてくれたのに……!」
彼女は笑いながら顔を歪めた。
「わたくしは、戻って来なくていいの、兄様を殺しに来たのよって伝えたの。あまりに腹が立ったから。そうしたら、笑ったの。『私が死ぬのが互いの幸せのようだ』って。とうとう魔障で気が触れたのね。だから、」
嬉しそうに叫ぶエミリーの顔に、花火の光があたる。その恐ろしい光景をリヴィは生涯忘れないだろう。彼女は押さえつけられていた足を思いきり引き剥がし、寝台から降りようとした。早く、はやく、彼の元に行かなければ。
だが、髪をぐいっと引っ張られた。
「待ってまって、そうはいかないの。ごめんなさいね」
エミリーは笑いながら、
「何でわからないの。貴方に話したのは、貴女にも死んでもらうからよ」



