リヴィ・スノウはやわらかな嘘をつく


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 魔障を取り除く。これで治癒士の役目の第一段階は終わった。

「終わりました。お疲れ様です。……今から薬草茶を淹れますね」

 リヴィは湯を沸かし、茶の準備をした。薬草茶には、精神を鎮める効果のある茶葉を使っている。レインスの魔障は特殊な後遺症があるので、鎮静剤が欠かせない。

「ありがとう。その、後遺症が出てしまう前に……今日はこれを渡そうと思っていた」

 彼はすこし躊躇うと、寝台の横からなにかを取り出した。色とりどりの花を集めた可愛らしく、可憐な花束が、リヴィの前に現れた。芳しい香りが花をくすぐる。

「貴女には、花がとても似合うかと思って」

 俯いて目を合わさずに、いつもの仕草よりもぶっきらぼうに差し出されたそれに、リヴィは目を丸くした。

「わ、わたしに……?」
「その、感謝を込めて。いつも、貴女には世話になっているから」

 彼は言葉を選びながら、リヴィの目をまっすぐに見る。

「このあとの症状で、理性を失わずにいられるのは貴女がついていてくれるからだ」
「いえ、わたしは、その、お役目ですから、ほんとうにっ! お気になさらずに……」