よく考えたら当然だ。彼は二十四だという。奥方がいて、子供がいたとしてもおかしくはないのだ。
「なかなか結婚しない私に痺れを切らした親族に決められてしまった。彼女のことは妹のように思っていたのだが、魔障を受けた男など、いくら地位が高くともあちらも願い下げだということだった」
「なんてこと……!魔障を受けてしまう方は本当は勇敢な方ばかりです。皆さん、何かを守ろうとして盾になって」
彼女は憤慨して拳を握りしめた。なのに、まるで厄介者のように扱われるなんて。
「貴女は、優しい方なのだな……」
彼はまた、穏やかに笑う。
「ここにきたのは半分自暴自棄になっていたのもあるが、今ではこれでよかったと思っている。なにより、貴女という優秀な治癒士に出会えた」
レインスの、リヴィを見る瞳が甘い気がして、彼女は自分の頬を叩きたくなってしまう。
(貴族の騎士さまが、治癒士なんかを相手にするわけないじゃない。私ったらほんとに、馬鹿なの?)
自分はもう二十一だ。
これまで甘い話などひとつもない。彼女は慌てて早口で答えた。
「でも、魔障はきちんと治療すればやがて消えるものです。治れば、レインス様は王都に戻れるのではないですか?」
「どうだろうか。あそこでは、魔障を受けたことは一生ついて回るんだ、呪いのように」
レインスはそう言って肩をすくめた。



