恭平さん、ごめんなさい。
私も今日を楽しみにしていたの。
恭平さんに着てほしくて、
弟たちの浴衣に紛れるように
貴方のものを作ったの。
私、楽しすぎて小さなことを見逃してきた。
だから。
秋も、冬も、来年も。
恭平さんともうお祭りには行けない――。
もう会うこともできないわ――。
飲み込んだ言葉から嗚咽が漏れた。
机の上に置いてあるりんご飴と、恭平がしまい忘れてそのままになった10円玉が2枚。
それを眺めているだけで現実味が無くなって。
息ができないほど、涙が零れた。
仮定法過去の恋〈上〉
To be continued …………