「だけどお父さんはもうできたじゃん」
その言葉に絵美は驚いて花子を見つめた。


お父さんはもうできた。
それは花子の父親が絵美の父親になったことを言っているのだ。

だけど、それとこれとは違う。
同じにはできないことだった。

花子の顔からは表情が消えていて、能面のように冷たい。
絵美は背筋がゾクリと寒くなるのを感じて身震いをした。

「と、とにかくこれはダメ」
「ふぅん……」

花子はじっとりと絡みつくような視線を残して部屋を出ていったのだった。