この舞台に立っててもいいのかな?って、心の隅の方でまだ考えていた。
 このコンテストに出てもよかったのかな?って。

 でも今、ここに立っていてもいいんだって、はっきりとそう思えた――。 



「それでは、おふたりからひとことずつお願いします!」

 まずは私にマイクが向けられた。
 1位になれるなんて思っていなかったから、何を話すか全く考えていなかった。

 ちらっと陽大くんの方を向いた。
 目が合うと彼はただうなずいた。

 うなずいてくれるだけでも陽大くんから勇気をもらえる。
 深呼吸してから私は言った。

「本当に1位になれたことが信じられなくて夢のようです。ありがとうございました」

 そして私は深くお辞儀をした。

 自分の中でだけど、上手く言えてほっとした。


 そして陽大くんにマイクが向けられた。

「僕たちを優勝に導いてくれてありがとうございました」

 彼は微笑みながらお辞儀をした後、真剣な表情になって言葉を続けた。

「あと今後、僕の隣にいる白雪 優乃さんを傷つける人がいたら、僕はその人を絶対に許しません!」

 陽大くんはまず生徒全体を流れるように見てから、じっと花田さんをにらんだ。花田さんは怯んでいる様子だった。


――陽大くん、みんなの前で私のことを言ってくれている。

 陽大くんの言葉を聞くと、心の奥がぎゅっとなった。