花田さんと赤間さんの声がした。
 ふたりが女子トイレに入ってきた様子。

「最近白雪おだってない? コンテストに出るみたいだし、前より自信ありげな雰囲気じゃない? なんか生意気」

 いきなり赤間さんが私の悪口を言い始めた。最近のふたり、私への冷たさと悪口がヒートアップしている気がする。

 ここから出られる雰囲気ではない……。

「あぁ、分かる。でも大丈夫。私が優勝するから」
「香織が優勝するのは分かるけど、七瀬も地味だったのに急にイケメンになったし……あれはイケメンレベル高い。いや、香織の彼氏もモデルやってるだけあってイケメンだけどさぁ」
「……」
「ありえないけど、もし白雪も奇跡起きて可愛くなったらやばくない? 審査って魅力度もだけど、変身度中心に競うよね? そしたらやばいよ、あのふたり」
「大丈夫! 一応、その辺の対策も考えてあるから。私の方が美人ってことをみんなに見せつけて、私に点数を入れたくなるように仕組めばいいんだから。私の方が白雪なんかよりも魅力的でレベルが高いってアピールをするの」
「どうやって?」
「あのね、今日の放課後、白雪さんの衣装を……」

 ふたりの声が小さくなって、その後の言葉が聞こえなくなった。

――私の衣装をどうするの?

 ぐちゃぐちゃにするとか? なんだか嫌な予感がした。

 衣装は被服室の準備室にあるラックに、カバーをしてかけてある。
 放課後すぐに衣装の場所へ行かないと――。