一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

「………………」
「あら?」
「ああ、君か……」

 庭で天を仰ぐマグナス様を見つけて、私は思わず声をかけていた。
 彼がどうしてそんなことをしているのかは、わかっている。とある事実を知ったからだろう。

「悩んでいるの? 今回のことで……」
「いや、そういう訳ではない。進むべき道は決まっている。迷いはない……ただ、険しい道になる故に、少々怖気づいている」
「それは、少し驚きね。あなたでも、そういうことがあるなんて……」

 マグナス様は、凛々しく勇猛な人であると思っていた。
 そんな彼が、恐れを抱いているというのは意外である。それだけ今回の戦いが、厳しいものだということだろうか。

「俺はそんなに強い人間であるという訳ではない。だが、逃げるつもりはない。必ず、俺は母上の悪事を暴く。ラナーシャを守るためにも、それは必要なことだ」

 マグナス様は、私の目を真っ直ぐに見てそう言ってきた。
 それによって理解する。やはり彼は、強い人間であるということを。
 恐れを抱いていても、進んでいける。それはすごいことだろう。やはり彼は、尊敬できる人だ。

「……そして俺は、君も守ってみせる」
「……え?」

 そこで私は、一瞬固まってしまった。
 マグナス様が、思ってもいなかったことを言ってきたからだ。