一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

「もちろん彼女は母を追い詰めていましたから、そういう意味なのかもしれません。でも、私は思っています。夫人が私の母を――方法はわかりませんが、殺したのだと」

 ラナーシャは、真剣な面持ちで私にその事実を伝えてきた。
 その発言に、私は驚いていた。内容はもちろんのこと、私と同じであるという点についても。

 元々私達は似た境遇だと思っていたが、そこまで一致しているとは驚きだ。
 もっとも、彼女の場合は夫人から聞いているという大きな違いがある。私のぼんやりとした疑いと同じにしては失礼かもしれない。

「この事実を、お兄様方には伝えていません。これを伝えることによって、ドルピード伯爵家が崩壊する可能性があるからです」
「……でも、あなたの本心は違うのね?」
「ええ、もちろんです。私は……母を殺した夫人を許したくはありません」

 ラナーシャは、悲痛な面持ちであった。今まで気遣って我慢してきたことが、その表情から伝わってくる。
 そんな彼女になんと言葉をかけるべきか、私は考えていた。二人に事実を伝えろというのは簡単だ。しかし、その発言を私がするのはひどく無責任であるようにも思えた。

 夫人の過去の罪を暴くというならば、私自身も覚悟を決めなければならないだろう。
 しかし、私にそんな資格があるのだろうか。何れこの屋敷を去るというのに。