一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

 ただそれは、相談しなければならないことである。彼女の場合は、そうしなければならない。なぜなら我慢した結果、最悪の結果になる可能性もあるから。

「不思議です。やはりアラティア様の言葉には、力があるのですね……」
「……いえ、そんなに口が上手い訳ではないけれど」
「………………一つ、今でもずっと抱えていることがあるんです」
「え?」

 ラナーシャは、かなり間を置いてから言葉を発した。
 その言葉に私は驚く。彼女の表情には陰りがある。そんな彼女が抱えていることは、何か重大な秘密であるような気がする。

「でもこれは、ドルピード伯爵家を揺るがすことです。だから、お兄様達には言っていませんでした。ただこれはきっと、重大なことです」
「……それは一体?」
「私の実の母は……殺されたんです」
「殺された?」

 私は、ラナーシャの顔を真っ直ぐに見つめていた。
 彼女の瞳の中には、暗い感情が見える。それは私をずっと支えているものと、同じ感情であるような気がした。

「聞いてしまったんです。ドルピード伯爵夫人が話しているのを……私の母を殺したと、彼女は確かにそう言っていました」
「……」