一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

「悲鳴が聞こえてきた所にランパーがいた時は肝が冷えました」
「まあ、ゲルトさんの立場からすればそうですよね……」

 自室に戻った私は、ランパーとその祖父であるゲルトさんに来てもらっていた。
 ラナーシャの方は、マグナス様が話を聞いてくれている。彼女のケアに関しては、兄である彼に任せるべきだろう。
 私はランパーから話を聞くことにする。もっとも、彼の方は何か特別な事情を抱えている訳でもないので、ケアする必要はないかもしれないが。

「爺さん、まさか俺が女の子にひどいことをするとでも思っていたのかよ?」
「いや、そういう訳ではないが……誤ったとしても怪我なんかさせたりしたら、大変なことになるだろう」
「いやまあ、それはそうだが……」

 ゲルトさんにとって、ランパーはたった一人の孫である。
 そんな彼が、特別な立場にあると思っている女性に何かをしてしまった。そう考えた時のゲルトさんの心境は、計り知れないものだっただろう。

「ランパーは、ラナーシャとこれまで話したことがあったの?」
「え? ああ、それはもちろん。同僚ですからね」
「どんな印象だったのかしら?」
「印象? 真面目なメイドとか、そんな感じですかね……」

 私の質問に、ランパーはすらすらと答えてくれた。
 やはり彼は、ラナーシャの内面に関して特に気付いていないらしい。ランパーは結構鈍感であるし、ラナーシャも自らの内面を隠そうとしているため、悟られなかったということだろう。