聖騎士さまに、愛のない婚姻を捧げられています!


「今まで、周りのことなど気にしたことはなかった……。貴女のせいで、私は、どんどん変わっていくんだ」
「セヴィリスさま……」

 喜んでいいものか、困るべきなのか、リリシアはわからなくなってしまう。

(だ、だって、そんなこと、言われたことない……)

 リリシアはおずおずと彼の髪を撫でた。

「わ、わたしは、私ですわ……あなた様のそばにいられれば、幸せで」
「うん」

 私の勝手なわがままだね、と彼は目を閉じ、眉を下げた。剣を持った時と、今の彼の違いになんだか心の奥がむずむずとする。これは、自分だけに見せる姿なのだろうか。だとしたら、とても、嬉しいような、すこし、こわいような……。

 夫は、胸に埋めた顔をまたふいに上げた。美しい緑の瞳が今度は妖しく光る。

「口づけをしてもいい?」
「も、もちろんです」
「では、そのあとも……?」

 ねだるように、彼がすっとリリシアの夜着のリボンを解きにかかる。ずくんと、彼女のおなかの奥が疼いた。

「は、い……」

 恥じらいながら頷く。セヴィリスは、燭台の火を少し落とした。そして彼女の両手を広げ、敷布へ柔らかく押さえつけると唇で、リボンをゆっくりと解いていく。時々強く肌を吸われると、そこに赤い痕がついた。

「これは、私の印だ。あの魔物に貴女がつけられた印など忘れてしまうくらい、これからは私の印で貴女をいっぱいにする」

 深く、深く肌に口づけながら、彼は囁いた。
 小さく頷きながら、リリシアは幸せなめまいを感じていた。

 完