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あの華やかな二度目の婚礼式の数週間後。
ルーデンに向かったリリシアとセヴィリスには驚きの事実が待っていた。
聖騎士団での調査を元に、彼らはリリシアの父が過ごした孤児院を見つけた。そこは大きな聖堂に付属する施設であった。
リリシアの父、ヒュンケルはそこで育ち優秀な薬師としてルーデンの街や村に貢献していたのだ。
「この聖堂は、はるか昔にルーデンの祓魔士会が建てたものと言われておりますよ」
「祓魔士? そのような名称は初めて聞く。神官殿はなにかご存じなのですか?」
神官は静かに頷く。
「ええ。このルーデン地方は、はるか千年前には魔物が蔓延る穢れた土地でした。苦しむ人々を護り助けたのが、祓魔士です。あなた方聖騎士と同じ役割を果たしていたと思われます」
セヴィリスは驚いた顔をした。
「もともと聖騎士にはいくつかの系図があったことは習いましたが……」
「千年も前の話になります。その頃は、ルーデンはこの国に属していませんでしたから。……魔を屠る役目を負った一族は、それぞれが独自の発展を遂げたり、または衰退していったと思われます」
老いた神官は穏やかに微笑む。
「魔物はこの地方から消え、やがて祓魔士もその役目を終えました。長い年月のうちに、彼らは薬師や聖職者へと職を移したのです。ヒュンケルの家系はわかりませんが、薬師としての才能に秀でておりましてな。もしかすると、彼も祓魔士の血を僅かに引いていたのではないでしょうか」
「父様が……、祓魔士の血を」
神官の話にリリシアは驚きを隠せなかった。彼女はペンダントの石を彼に見せる。
「この石は父が、自分の父から継いだと聞きました。なにか、何かご存じですか?元はとても綺麗な金色なのです……!」