雷雨はいつのまにかおさまり、窓の向こうから聞こえるのは穏やかな雨音だ。
 二人は寄り添いながら、じっと動かなかった。

 セヴィリスは、リリシアの身体をいたわり、彼女の身体に残した自身の痕を丁寧に世話した。その間も何度もなんども彼女の頬や額に愛おしそうに口付けて愛を囁く。

 心地の良いだるさに、リリシアはいつしか眠りに落ちていった。

 ふと目をあけると、夫と目が合った。

 彼は穏やかな笑みを浮かべ、肩肘をついてリリシアを見ている。

(や……セヴィリス様、ずっと、起きてらっしゃったのかしら)

「も、申し訳ありません、寝てしまったみたい……」

 慌てて掛布を鼻のあたりまで引き上げると、優しく押し留められた。

「そのまま寝ていて。……でも、顔は隠さないでほしいのだけれど……」
「そんな……っ」

 彼は緑の瞳を煌めかせた。

「寝顔、初めて見たから……ずっと見ていたくて」
「は、恥ずかしいです……もう、眠れなくなってしまいます」

 彼は微笑む。リリシアの指に優しく自分の指を絡めた。

「では、すこし話をしよう」