骨ばった自分の腕を見る度に悲しくなる。
 頑張って太ろうとしたこともあったけど、無理に食べすぎて学校で吐いてしまった。

「ゲロ吐いた」、「汚い」などとクラスメイトたちが遠巻きにする中、きらりだけは違った。


「彗ちゃん、大丈夫?」


 そう言ってハンカチを差し出してくれたことは、今でも忘れない。

 かわいくて優しいきらりが大好きだった。
 きらりと親友でいられることが、私にとっての誇りだった。

 中学生になった今も、それは変わらない。


「ねぇねぇ彗ちゃん、今日こそ星夜(せいや)くん見に行こうよ〜」


 放課後、きらりがきゅるんとした目で私を見つめる。


「私はいいよ」

「なんで〜?きらりだけじゃ心細いよ〜」

「でも、学校ではそっとしておいてほしいかもしれないし……」


 うちの中学はどこにでもある普通の公立だけど、一つだけ特別なことがある。

 それは、現役アイドルが通っているということ!

 それが陽生(ひなせ)星夜(せいや)くん。
 人気アイドルグループ・Sirius(シリウス)の最年少メンバーで14歳。
 次世代のスーパースターと言われている。