「な、んで……。どうして、そんな事を……」
いや、その前に……なんか、おかしい。
ついさっき廊下で「俺が脅した」と言った黒瀬くんの言葉を、どうして教室にいた恭子ちゃんが知ってるの?
まるで、廊下での私たち三人の会話を、盗み聞きしてたみたいに……。
「ま、さか……」
ふと、恭子ちゃんを見る。
すると同じタイミングで、恭子ちゃんも私を見た。
そして――
ニッ、と。
薄気味悪い笑みを浮かべている。
次に、大きな声で「黒瀬くんサイテーだよね、ガッカリ~」と。黒瀬くんを見ながら悪口を言った。
「そうだよね、黒瀬くんにはガッカリだよ」
「いくらカッコイイからってね」
「女子を傷つけるなんてサイテ―だよ」
クラスで人気の恭子ちゃんが、そこまで言ってるんだから、黒瀬くんはサイテーに違いない――と。
暗黙のルールみたいに。
透明な「前ならえ」みたいに。
皆が一斉に、黒瀬くんを悪く言い始めた。



