「……ブカブカだし」 慧斗と誰かのペアリングの指輪をはめてみて、あまりの不格好さに苦笑した。 慧斗はこんな風に誰かに貰ったプレゼントを、簡単にあたしに譲る。 あたしは過去にもストラップ、キーホルダー、鞄、アクセサリーなど 数々のプレゼントを慧斗から譲り受けている。 きっと、女の子は見ず知らずのあたしみたいな女に譲られているなんて 微塵も思っていないだろう。 哀れな人たちだ。 あたしは指輪をはずし、机の上に置いて指ではじいた。 指輪はカンと金属の冷たい音をたてて、床に転がり落ちた。