慧斗はゆっくり立ち上がり、あたしの投げ捨てたリボンを広いあげると、あたしに差し出した。 「生きてたら色々あるよ。当たり前じゃん。辛くなるまで頑張った君はいい子だよ」 その声が、優しくて 優しすぎて 受け取ったリボンを顔に押し当て泣いた。 慧斗が頭を撫でてくれたあの温かさは今でもまだ覚えてる。 誰かに頭を撫でてもらうのは、これが始めてだったから。