キミと掴む、第一歩。


ピピっ


 1対1。互いに譲らない攻防が続くなか、突然のホイッスルに会場がざわつく。

「交代!? 交代するの!?」
「誰!?」

 残り数分のところで、審判による交代の笛。
 ドクン、ドクンと心臓が音を立てる。ユニフォームを身につけて、ピッチに立った彼は。

 まっすぐにわたしを見つめて、笑った。


「今笑った!」
「絶対私に笑った!」
「違う! あたしだよ!」


 遠いけれど、分かる。いつもは自分に自信がないくせに、今だけは自意識過剰になってしまう。
 だけどたぶんあれは、わたしに向けられたものだ。



「瀬尾くん、がんばれー!!!」

 今まで出したことがないくらい、大きな声。お腹から声を出すって、たぶんこういうことを言うんだって。この際、周りの目とかどうでもいい。
 わたしはわたしの意思で、彼を応援するだけ。


 試合再開のホイッスルが鳴って、ボールを持った瀬尾くんはするするとディフェンスを交わしながら進んでいく。金山くんにパスを出し、二人で連携をとりながらスムーズにボールを運んでいく。


「やっぱりこの二人じゃないと!」
「連携プレー最高」