キミと掴む、第一歩。

 サッカーが続けられるなら。
 そんなふうに一瞬でも思ってしまった自分を怒鳴りたい。

 彼がずっと目指してきたプロサッカー選手という夢。
 それはわたしでいう、『作家』だ。

 一生、あなたは小説を書いて暮らせます。
 ただし、一生小説家にはなれません。本を出版することはできません。

 そんなふうに言われたら、どうするだろうか。


 そうしたらわたしはきっと、筆を折る。
 書くのを、やめてしまう。

 もしかしたら、という希望を持って夢を追いかけるのに、一生辿り着けないと知って果たして努力する意味がそこには存在するのだろうか。


 そう思うと、今わたしが彼にかけるどの言葉も、彼の救いにはならない気がして。


「……っ」


 ただ、ぎゅっと。彼の手を、強く強く握ってあげることしかできなかった。