それなのにどうにも諦めきれなくて、ノートを取りに、教室へ向かっている放課後。続きを書いて、ひとつの作品にしてしまいたかった。

 優柔不断なところも、わたしの弱さ。
 誰かから否定されるのがこわい。自分には実力がないんだって絶望してしまうから。


 そんな自分が大っ嫌いで、誰かに生まれ変わりたくて、でもそんなことはできないからってモヤモヤした気持ちを抱えながら、向かった放課後の教室。



「──……っ、う……っ」


 ああ、哀しい音だ。
 教室の戸に手をかけた途端、そう察知して躊躇する。たぶんわたしは、ここにいたらダメだ。

 だって、だって。
 教室のはじの席、悔しそうに唇を噛んで涙を流す彼は。


 紛れもなく、瀬尾くんだったから。