キミと掴む、第一歩。

 みんながわたしの小説を読んでいる。恥ずかしいけど、言えてスッキリしたような、不思議な気持ち。


「史倉、ちょっときて」
「うん」


 瀬尾くんに言われるまま教室の外に出て、そのまま渡り廊下へ。心地よい風が頰を撫でて、通りすぎていく。


「頑張ったね、史倉」
「ううん、全部瀬尾くんのおかげ」
「違うよ。言いたいことを史倉がちゃんと言えたから今があるんだ。自信持っていい」


 ふっと細められた瞳が、太陽の光を浴びてキラキラと輝く。それがとても綺麗で、カッコよかった。


「……それとさっき、俺が言ったことだけど。半分ほんとで半分はウソっていうか、その」
「え?」
「気に入られるためではないんだけど、その前に言ったことはホントっていうか、あーもう! ダメだ俺、カッコ悪すぎる」


 どういうこと?と首を傾げると、耳まで真っ赤にした瀬尾くんは、顔を逸らして「ごめん忘れて」と呟いた。
 珍しく慌てているようすがカワイイな……なんて思っちゃうわたしはすでに手遅れなのかも。


「あ、そういえば瀬尾くん」


 ふと、気になったことがあったので聞いてみることにした。


「どうして教室に戻ってきたの? もう部活に行ったはずでしょう?」


 放課後なのに、どうしてわたしの前に現れたりしたのか。たまたまにしては偶然がすぎるような気がする。


「好きな女の子のことなら、なんだってわかるよ。……とか史倉の小説の男の子は言うのかもしんないけどさ」


 へへっと頭を後ろを掻いた瀬尾くんは、恥ずかしそうに告げた。


「言われたんだ、三上(みかみ)さんに。史倉が困ってるかもしれないから、助けてやってくれって」
「え、たまちゃんが?」

 瀬尾くんの口から飛び出したのは、意外にも親友の名前だった。


「そう。焦った様子で俺のこと呼びにきてくれたから、駆けつけられた」
「そう、だったんだ……」


 なんて優しい子なんだろう。じわっと涙が浮かびそうになる。