私の表情は、きっと露骨に翳ったのだろう。

「ごめん…もしかして、嫌な質問したかな?」

流石のマルクも気を遣ってくれた。

「ううん…気にしないで」

数秒の間のあと、

「もし嫌でなかったら…史奈の好きな人のこと聞かせてくれない?ホラ、何しろ史奈に誰か特定の相手が居るなら、僕が割り込んだり奪うのもよくないし」

本気なのか冗談なのかわからない調子で問われ、思わず苦笑いだ。

「私ね…幼なじみと付き合ってたんだけど、彼はいつの間に、同じく幼なじみで私の親友だった子と付き合ってたの。浮気現場を目撃してしまったと思いきや、浮気じゃなくて、親友のことが本命だったみたい」

「浮気って…そんなに深い関係だったの?」

「あ、違う違う!私と彼はそんな関係じゃなかったし、見かけた浮気現場というのも、公園でキスしてたところを見ただけ。まぁ…もしかしたら、あの二人の間には、それ以上のこともあるのかもしれないけど」