甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。





「ほーらほら犬丸~、ルキくんが揺れてんぞー」


「…………」



ぷらりぷらり。

犬丸がまだ持っていない推しのキーホルダーが揺れている。



「そういやDVDボックスも買ったんだよな。…たしか伝説回は9話だっけ…、ああ、これか」


「……ぐっ、」


「お。特典映像つきだって」


「………ぐぬぬっ」



グルルルル───、

たぶん音があったらそんな効果音で、爪も牙もむき出しにして一条くんを睨んでいることだ。


警戒心バチバチ。
でも尻尾はふりふり。


今度は自宅リビングのテーブル下、犬丸は欲望と戦っていた。



「一条くん、だったわね。甘いものは食べられる?」


「あ、すみません。ありがとうございます」


「いえいえ~、ちょっとびっくりするお家かもしれないけど……ゆっくりしていってね」


「…はは、賑やかでいいなって思います」