甘く優しくおしえて、ぜんぶぜんぶ。





「ふうん?…で、その子が例の?」



ひいぃっ。
なんかすっごい睨まれてる……!

一条くんとは幼なじみ、な、ようで……?


背筋をピンっと伸ばしてしまった私に、彼女はズケズケ近づいてまで指をさしてきた。



「暁の姫はあたしなんだから!!」


「ひ…っ」


「2円とか聞いたことないしありえないんだけど!!あんたのせいで暁の価値も下げてるってこと、わかってんの!?」



ご、ごもっともだ………。

ぐうの音も出ないってコレだ。



「てかっ、そこ退きなさいよ…!千明の隣はあたしだけの特等席なのよ…!!」


「あっ!わっ、イタタ…っ」


「───マミ、いい加減にしろ」


「っ……」



ひくいひくい声。

どうにか無理やりにでも私を退かそうとしていたマミさんは、動きが固まって顔を引きつらせた。