「知ってる?グループには特定の女の子が選ばれるらしいんだけど……、選ばれた女の子たちには値打ち額が付けられるんだって」


「値打ち額?」


「あまりよく知らないんだけどね、なんか……その値打ち額が高ければ高いほど組織の心臓でもあるから、他グループから狙われたりするっぽくて。でもそのぶん守ってくれるんだって」


「え~!なにそれめちゃくちゃ憧れる……!」



アイドルグループじゃない。

ぜったいぜったい違う。


沙蘭くんはそう言ってたけど、特定の女の子とか値打ち額とか。

あの日の説明だってなんっにもキラキラアイドルには当てはめられなかったもん……。


アイドルが陽だとするなら、まるで一条くんたちは陰なのだ。


だから犬丸、逃げることにした。



「亜古っ、このあと寄り道していかない?」


「ほらっ、アニメショップいこーよ!」


「……ごめん…、さとちゃんとあすみん…、犬丸、今日はやめとくってよ…」


「…そっか。また明日ね!」